バジラヤナから伝説まで

 2月29日。

 一昨日は根性を出しすぎてしまったためか、病の侵入を許し、昨日は臥して過ごしていた。
 そんな朕に「だらしがねえなあ」と、叱咤するかのような釣果の報が入る。
 李立は登戸エリアで達成者となり、上流域へと行っていた義士は多摩川メインターゲット二種を制覇。
 しかし、この頃の朕は病に気力削られること甚だしく、ガチではないはずなのに僻みや負け惜しみのコメント冴える伝説三輪氏的思考回路が働かず、ただ羨ましがるのみであった。

 一日を療養に費やした甲斐あって、この日はワーク可能な体調を取り戻すことができた。
 昼から気温が上がり、南西の風が強く吹くという予報。
 風の弱いうちは流れの筋をアンダーショットで探り、強風になったらシャローフラットをリップレスクランクで巻きまくろうというつもりで、トゥータックルで多摩川へ向かう。

 月曜日の登戸エリア。
 思いのほか釣り人の数は多い。見知らぬ人々だ。平日でもこれだけの人がいるなら、伝説三輪氏が降臨したとしても新川の思い出を自慢する相手に不自由しないだろう。朕はひそかにレジェンドⅡのために喜んだ。
 まずは流れの効くポイントを、と打ってみるが流れが無きに等しいように感じられる。折りよく相模湖常連バサー氏が現れたので、現在感じられていることを話してみたところ「おっしゃるとおり厳しいでしょう」とのこと。
 しかし、今ここでの可能性が厳しくとも、南風が強まるまでこの釣りを続けるしかなかった。
 ふと公孫戍こうそんじゅが現れる。
 タックルは持っていない。
 昨日の様子を聞いてみたところ、そこそこ釣れていたという。
 病に臥していたことが悔やまれる。しかし、悔しがっていることを表に出してはこちらの力量が侮られる恐れがあると思ってしまう伝説三輪氏のように「オレはおめえらと違ってガチじゃねえからよお」と言って、さも余裕のあるふりをしてみせた。
 「そちらの伝説は相当強烈であることは聞き及んでおります。では後ほど私もこちらの伝説を語るといたしましょう」
 と言って公孫戍はタックルを取りに家に帰って行った。

 結局、朕はスポットを発見できず、南風もいっこうに強くならず、どうしたものかとうろつき始めたところセニョールの姿を発見。
 「先日、ドラゴンどのが今日は良いのではないかと仰せになられたので来てみた次第。ところがどうでしょう。まったく反応を得られないではありませんか」と、セニョール。
 「セニョール、わたくしめもそのつもりで参りましたが、察しの通りいっかな兆しが現れません。だからといってどうか“おめえがいいっていうから来てみたけどよお、釣れねえじゃねえか!”などとは仰られぬよう。
 というのも、己の不明を棚に上げ無様に醜態を晒せるのは伝説の称号を得た者の特権であり、我々のような布衣の者にまで天帝はお認めになっておらぬのですから」
 朕は言葉を弄し、己の策が実らなかった時のための保身を図った。
 セニョールは「いかにもごもっとも。あなたの予測が外れたとしても何も言わぬといたしましょう」といった。

 やがて公孫戍が夏侯章かこうしょうを伴って現れる。
 風は依然強くなっていない。
 ハードベイトでのイージーキャッチの釣りが困難な状況のまま、流れも理想の状態とはならず、ソフトプラスチックでの釣りにも厳しいという八方塞り状態となる。
 エリアを外しているという気配濃厚である。
 しかし、今更大きく移動しようという気力も湧かぬ四十代組。
 釣果をいつのまにか諦め、双方の伝説について話し合ったり、バスバブル時代の話に終始。昔を懐かしんでいるうちに釣れていないという悔しさも気にならなくなっていて、ただ寒くなってきたというだけの理由で各々撤退するのだった。
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tag : 多摩川 ルアーフィッシング バスフィッシング

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Author:dragon
天に替って道を行おうとする人。
玉帝の導きに従い、非凡なる境地を目指している。

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