引き続き伝説の川辺
12月31日。
西暦に於ける今年の最終日。
世間の中に身を置かざるをえない境遇にあるのでこの日はひとつの区切りとなるようだが、この道に魂魄のある朕にはあまり関係の無いこと。天候と体調が健やかならばフィールドに赴くべきであろう。
帰宅途中、やや眠気に襲われることもあったが、食事を抜いて対処。多摩川に向かうことにした。
登戸入り。
この日も前回と同じタックルだが、フロロカーボン6lbを使いきってしまったので、トライリーンXT8lbをリーダーにした。三種のソフトプラスチック、ズーム・ミートヘッド、フィネスワーム、エコギア・ストレートと、数種のハードベイト、モーグルバイブ、レンジバイブ、レアリスバイブ、エリアススピナーベートと、手持ちのベイトも先日と同じ。
ストラクチャー、カバーの場所は粗方把握しているし、川を包む環境も微細までは知らずとも、どのような条件下にあるのかを想像することはできる。
寒い時期のおとなしい釣りが適切であろう。
陽光は黒いGETTを通して温かく感じられるほどだが、水中に居る変温動物はどうであろうか。
太陽熱が届き、かつ水深があり、身を隠すことのできる場所。水の動きは捕食に利用するだろうから、流れは近いほうがいいかもしれない。
この辺りでトラブル少なく水深のある場所をゆっくり誘うにはスナッグレス性の高いものが良い。というわけで最初からダウンショットリグを組む。
ライトリグを用いるのは、釣れないから、難しいからという理由が出発点であるとは限らない。どのようなベイト、リグを用いるにも、まずシチュエーションベイトという考えがある。
レジェンドⅡに「ガチ」だとバカにされても、やはり釣りたいのでこの辺の作業はおろそかにはできない。真剣に狙っても釣れなくて悔しい思いをするほうが、自分だけ釣れなくて本気で不機嫌になっているよりは遥かにマシだと思っている。
キャスト開始。
いくらペをメインラインにしているとはいえ、ロングリーダーのナイロンラインではフロロカーボンに比べると劇的に感度が落ちる。変化を捉えられないというわけではないが、鋭敏さが損なわれている。
その数は多くはないが、鵜やカイツブリが時折水中を窺っている。
アタリは無かったが、一点に居着いている魚を狙っているわけではないので諦めることなくスイミングとフォールを繰り返し、時にポーズを入れてみる。
李俊と李立が現れる。
彼らは朕の立つボート小屋ポイントより上流側に入った。
どれほど何事もない時間が過ぎたか…やがて弱い北風が吹くようになる。緩い風ではあったが、やはり寒い。
一人のアングラーが退却を始める。
見ればこのアングラー、このブログの読者である荒川バサーの馮諼 だった。朕が先日ラージマウスをキャツチしていたことを知っていて、大いに讃えてくれたが、実はナマズ狙いであったということを偽らずにいった。
風に体が冷え、朕はご不浄に立たれた。ついでに上流側の李俊や李立と休息をかねて雑談。
李俊は登戸名物の不在を寂しがっていたが、朕は、虚妄窮まり居たたまれなくなったのであろう、と答えた。
鋭気が練られたところで再びポイントへ。
水温の安定する層から、小魚が浮くレンジまで労なくして入ってこれる場所を、というつもりでポイントを上下し、リグを引いてくるうちにバイトの感触を得る。
重みとパワーはあるがコイでないのは明らかだった。昨日、下野さんが釣ったスモールマウスも引きに重みがあった。
遂にスモールマウスか!?と、寄せてみればナマズ。
先日はナマズを狙ってブラック。今回はブラックを狙ってナマズ…。
どんな魚種であれ、その時その場の優位種を釣るのが身上ではあるが、さすがにここはスモールマウスであって欲しかったというのが正直なところ。
勿論、ナマズは多摩川での第一ターゲットである。嬉しくないわけがないし、ノーフィッシュを免れたということで安堵。
さて、次はスモールマウスだ、とキャスト再開。
すると李立がやってきて下流部を指し、公孫戍 と夏候章 ではないか、という。
見れば確か夏候章だとわかる者が居る。朕は目だけは良いのだ。
こちらの餌場はナマズが支配していたであろうし、風は先ほどまで下流側に吹いていて、向こうにはカバー隣接の深場と、細かい起伏に富んだシャローフラットがある。また、湧水を示す木も生えているので大いに可能性があるだろう。
ということで、朕と李立は下流部へ向かった。
移動先に居たのはやはり公孫戍と夏候章だった。
意外にも釣れていないという。
魚が居ないわけではない。数が多いわけではなかったが、ラージマウスもスモールマウスも見えることがあった。しかし、居るからといって釣れる魚であるかはまた別である。
釣れないとわかるや、朕と公孫戍はバスバブル華やかりし頃の思い出話に花を咲かせていた。
風来堂、スーパーブッシュ、キャスターハウス、環七ポップアイ、バンフィールド、鹿行大橋、アングラーズサイト51、千夜釣行…。インターバーレル構造はもはや一万円台の性能ではなかった。ダイワのインナーラインロッドにピストルグリップを付けて自慢する輩も居たほどだ。
オッサンたちが青年だった時代を懐かしみながら、そしてまた時は流れていく。
そしてここでは誰も釣れることはなく、したがって誰も突き落とされる心配は無かった。
日が暮れる頃になり、公孫戍と夏候章は「とにかく釣らなきゃ!」と移動。
朕も帰ろうとしたが、李立が「釣れるまで帰らん!お前も付き合え!」とレジェンド発言。
かつて西湖に行こうとしていた朝、李立が約束の時刻になっても現れず、大いに遅刻。「何やってんだよお!」と麻原尊師ばりに朕が怒ったことがある。勿論朕はヒューマンガス同様、分別ある男なので遅れた理由を聞いた。
聞けば、前日、翌朝5時待ち合わせで西湖へ行くと李立が言っていたにも関わらず、レジェンドⅡに「釣れるまで帰らん!お前も付き合え!」と、当日2時頃まで無理矢理付き合わされたのこと。
この頃、既に釣り方を知っていた李立は見込みの無い場所で粘ることの無意味さを熟知していたのにその提言を受け入れず、挙句コイをスレ掛かりさせ、釣ったと大喜びし、ようやく解放されるに至ったという。
約束の時を守れなかったことを責めるより、かような無道を行う者こそ責められるべきであった、と朕は李立を責めたことを詫びた。
当然、朕と李立の間には、白痴じみた支配は存在しないので、釣りを続けるも、撤退するもそれぞれの思うままであり、朕は残留組に別れを告げ一足先に帰路に就いた。
西暦に於ける今年の最終日。
世間の中に身を置かざるをえない境遇にあるのでこの日はひとつの区切りとなるようだが、この道に魂魄のある朕にはあまり関係の無いこと。天候と体調が健やかならばフィールドに赴くべきであろう。
帰宅途中、やや眠気に襲われることもあったが、食事を抜いて対処。多摩川に向かうことにした。
登戸入り。
この日も前回と同じタックルだが、フロロカーボン6lbを使いきってしまったので、トライリーンXT8lbをリーダーにした。三種のソフトプラスチック、ズーム・ミートヘッド、フィネスワーム、エコギア・ストレートと、数種のハードベイト、モーグルバイブ、レンジバイブ、レアリスバイブ、エリアススピナーベートと、手持ちのベイトも先日と同じ。
ストラクチャー、カバーの場所は粗方把握しているし、川を包む環境も微細までは知らずとも、どのような条件下にあるのかを想像することはできる。
寒い時期のおとなしい釣りが適切であろう。
陽光は黒いGETTを通して温かく感じられるほどだが、水中に居る変温動物はどうであろうか。
太陽熱が届き、かつ水深があり、身を隠すことのできる場所。水の動きは捕食に利用するだろうから、流れは近いほうがいいかもしれない。
この辺りでトラブル少なく水深のある場所をゆっくり誘うにはスナッグレス性の高いものが良い。というわけで最初からダウンショットリグを組む。
ライトリグを用いるのは、釣れないから、難しいからという理由が出発点であるとは限らない。どのようなベイト、リグを用いるにも、まずシチュエーションベイトという考えがある。
レジェンドⅡに「ガチ」だとバカにされても、やはり釣りたいのでこの辺の作業はおろそかにはできない。真剣に狙っても釣れなくて悔しい思いをするほうが、自分だけ釣れなくて本気で不機嫌になっているよりは遥かにマシだと思っている。
キャスト開始。
いくらペをメインラインにしているとはいえ、ロングリーダーのナイロンラインではフロロカーボンに比べると劇的に感度が落ちる。変化を捉えられないというわけではないが、鋭敏さが損なわれている。
その数は多くはないが、鵜やカイツブリが時折水中を窺っている。
アタリは無かったが、一点に居着いている魚を狙っているわけではないので諦めることなくスイミングとフォールを繰り返し、時にポーズを入れてみる。
李俊と李立が現れる。
彼らは朕の立つボート小屋ポイントより上流側に入った。
どれほど何事もない時間が過ぎたか…やがて弱い北風が吹くようになる。緩い風ではあったが、やはり寒い。
一人のアングラーが退却を始める。
見ればこのアングラー、このブログの読者である荒川バサーの
風に体が冷え、朕はご不浄に立たれた。ついでに上流側の李俊や李立と休息をかねて雑談。
李俊は登戸名物の不在を寂しがっていたが、朕は、虚妄窮まり居たたまれなくなったのであろう、と答えた。
鋭気が練られたところで再びポイントへ。
水温の安定する層から、小魚が浮くレンジまで労なくして入ってこれる場所を、というつもりでポイントを上下し、リグを引いてくるうちにバイトの感触を得る。
重みとパワーはあるがコイでないのは明らかだった。昨日、下野さんが釣ったスモールマウスも引きに重みがあった。
遂にスモールマウスか!?と、寄せてみればナマズ。

どんな魚種であれ、その時その場の優位種を釣るのが身上ではあるが、さすがにここはスモールマウスであって欲しかったというのが正直なところ。
勿論、ナマズは多摩川での第一ターゲットである。嬉しくないわけがないし、ノーフィッシュを免れたということで安堵。
さて、次はスモールマウスだ、とキャスト再開。
すると李立がやってきて下流部を指し、
見れば確か夏候章だとわかる者が居る。朕は目だけは良いのだ。
こちらの餌場はナマズが支配していたであろうし、風は先ほどまで下流側に吹いていて、向こうにはカバー隣接の深場と、細かい起伏に富んだシャローフラットがある。また、湧水を示す木も生えているので大いに可能性があるだろう。
ということで、朕と李立は下流部へ向かった。
移動先に居たのはやはり公孫戍と夏候章だった。
意外にも釣れていないという。
魚が居ないわけではない。数が多いわけではなかったが、ラージマウスもスモールマウスも見えることがあった。しかし、居るからといって釣れる魚であるかはまた別である。
釣れないとわかるや、朕と公孫戍はバスバブル華やかりし頃の思い出話に花を咲かせていた。
風来堂、スーパーブッシュ、キャスターハウス、環七ポップアイ、バンフィールド、鹿行大橋、アングラーズサイト51、千夜釣行…。インターバーレル構造はもはや一万円台の性能ではなかった。ダイワのインナーラインロッドにピストルグリップを付けて自慢する輩も居たほどだ。
オッサンたちが青年だった時代を懐かしみながら、そしてまた時は流れていく。
そしてここでは誰も釣れることはなく、したがって誰も突き落とされる心配は無かった。
日が暮れる頃になり、公孫戍と夏候章は「とにかく釣らなきゃ!」と移動。
朕も帰ろうとしたが、李立が「釣れるまで帰らん!お前も付き合え!」とレジェンド発言。
かつて西湖に行こうとしていた朝、李立が約束の時刻になっても現れず、大いに遅刻。「何やってんだよお!」と麻原尊師ばりに朕が怒ったことがある。勿論朕はヒューマンガス同様、分別ある男なので遅れた理由を聞いた。
聞けば、前日、翌朝5時待ち合わせで西湖へ行くと李立が言っていたにも関わらず、レジェンドⅡに「釣れるまで帰らん!お前も付き合え!」と、当日2時頃まで無理矢理付き合わされたのこと。
この頃、既に釣り方を知っていた李立は見込みの無い場所で粘ることの無意味さを熟知していたのにその提言を受け入れず、挙句コイをスレ掛かりさせ、釣ったと大喜びし、ようやく解放されるに至ったという。
約束の時を守れなかったことを責めるより、かような無道を行う者こそ責められるべきであった、と朕は李立を責めたことを詫びた。
当然、朕と李立の間には、白痴じみた支配は存在しないので、釣りを続けるも、撤退するもそれぞれの思うままであり、朕は残留組に別れを告げ一足先に帰路に就いた。
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