メリー・ジャバサの子ら

 12月8日。

 潮回りの良い日だが、アユの霧散と共に、重きを置く所を失している現在。
 先日のバラしでわかったことは、魚がこの流域から消えているわけではなく、捕食行動に出る個体も居るということだけだった。
 初めから諦めているスモールマウスはともかく、追うことが可能だと思っていたナマズをしてこれなのだからまいっちんぐとしか言いようが無い。
 とりあえず、という感覚で気温水温の下がりゆく現在は水量水深を求めてみるが、藁に縋る感覚にも似る。
 こんな頼りなさでありながらも、レジェンドⅡのように「釣りという低レベルな競争」から卒業する気はさらさら無いし、それだけのことを言っておいて釣りを再開できるような面の皮も無いので、この日は水塊としては去年より大きくなった五本松エリアに入ってみることにした。
 幻の尾崎豊はともかく、音痴の弾き語りや、あのねーオジサンを見られるかもしれないという淡い期待も当然あった。

 現地入りして一通り見てみると、コイの姿がよく見られ、30クラスのスモールマウスを一匹だけ見た。
 水はやや冷たく感じられたが、太い流れの中に水流の変化があり、プールの広さ、水深水量を考えれば低水温期に魚をストックするのに適しているように思われたのでここで粘ってみることにした。
 夕刻が近付くにつれ、小魚たちが浮き始め、チビツブリの捕食行動もよく見られるようになる。コイもシャローによく入ってきている。
 ナマズが来てもおかしくないと思える光景だ。
 上流から流れ込む落ち葉や、ボトムに沈む枯れ草、ゴミの類がリップレスクランクのフックによく絡んでくるが、フックに絡んだウィードをつまむのが楽しみな朕はキャストを続けた。
 また、これはノーフィッシュに終わっても、「シェイクする度に、ハンドルのがたつきに起因する振動がグリップで増幅されどうにもならなかった」ことを理由にした伝説を流用して「フックに絡むゴミがルアーの泳ぎを妨げどうにもならなかった」という言い訳で面目を保つこともできる、と考えた。
 しかし、朕はレジェンドⅡに“ガチ”と揶揄されたように、その場その時のベターを求める性質である。ゴミをつまんでいる時間が惜しくなり、リップレスクランクからスピナベートにチェンジする。
 ラッキークラフトのMHスピナーベートはリップレスクランク並みの飛距離を稼げ、ヘッドの重さのためボトムトレースがし易く、シングルブレードであるため流れの中を引いてくるのに適していて、対岸のブレークラインを徘徊するナマズの目の前を通すのに都合の良いベイトだ。
 ナマズが来ているという確信は無いが、居るなら何かしらの手応えがあるはずだ、とキャストを続ける。

 一方、李立は堰下エリアに入っているとのこと。
 釣れたら僻み、釣れなかったら罵倒のレジェンド流で行こう、とエールを送り、それぞれのエリアで日没まで続けてみた。

 しかし、結局どちらも「オレが考えなしにやってると思うか?」「お前が一軍、オレが二軍。そういう考え方やめねえか?」と、泣きの入った会話しか出来ない内容となっていたのだった。
 また、先日、李立は宇奈根エリアの様子を見に行っていたので、その時の感触を尋ねたところ、東名高速下の河川工事による悪水が流れ込んできており望み薄、コイの姿さえ無かったという。
 朕は、グリーンプレイスが汚染によって喪失してしまったことを知ったフィリオサの気持ちを、この多摩川でリアルに知ることになってしまった。
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tag : 多摩川 ルアーフィッシング

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Author:dragon
天に替って道を行おうとする人。
玉帝の導きに従い、非凡なる境地を目指している。

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