名物不在の宴

 12月5日。

 ナマズは再び行方知れず。しかし、ナマズがなりを潜めることによってスモールマウスが活動しやすくなるかもしれない。
 この日は晴天で風が穏やかだったので、弱いワーミングもできるようにしておいたほうがよかろうと思い、1/2オンスクラスのプラッキングからライトリグまで対応可能なセントクロイ・エイビッド66Mのスピニングタックルにフロロカーボン6lbという仕立てで登戸へ向かった。

 現地入りしたところ視界の届く範囲に見える魚はコイ、フナだけ。
 まだアユの余韻残るコイがいるかもしれないということでBフォロワーを引いてみたが無反応。水深のあるカバー周りにダウンショットリグを通すがこちらも無反応。
 李立、施恩が現れそれぞれに探りを入れていたが、やはり一切の反応を得られていないとのこと。
 アユがどこへ行ったか。降ったことは容易に想像がつくが、具体的にどのエリア?ということになると答えが出ない。
 昨日は堰下プールにアユは見えず、その下流は魚を留めておく要素が希薄。今から宇奈根に下れば大いにタイムロス。登戸エリア下流側にはそこそこ魚食鳥の数があるので、とりあえずそこへ行ってみようということになった。
 週末の登戸名物は今日も見えなかった。

 下流側の、比較的水深のあるカバーが連なるストレッチに入ってみたところ先客あり。
 張横と下野さんの友人だった。
 下野さんはあと少しで今年中に三十六員、七十二座のスモールマウスを揃えられそうなところにいて、今日キャッチした40クラスで一百零五匹めまで達したという。
 アユは下流の水路でボールになっていて、居るには居るが沈んだ感じだとのこと。
 今日の感触をそれぞれに語りながら、釣堀状態でのキャスト。

 既に諦めムードが漂っていたので、最近ライブベイトで数匹のニゴイをキャッチした李立と、ビッグベイトでニゴイをキャッチした朕、どちらが勝ちか、のジャッジを多摩川ニゴイ至高論者の張横に委ねる。
 ビッグベイトでバイトを得るレア度では朕に分があるが、釣獲数では李立が圧倒的。共に自らの勝ちを譲らない。
 張横は悩んだ。
 どちらかを選べば、片方の恨みを買い、ニゴイ至高主義賛同者同志のあいだがらがまずくなっては困ると考えたのであろう。
 しばらく沈思の後、「引き分けとする」ときっぱり言った。それぞれに得られた釣果を大いに喜び、誇るべきであるという裁定。
 慎重かつ神聖な裁きに異を唱える者などいようはずもなく、朕は張横の粋なこころづかいを敬った。

 そんなだらけた空気の中にあって、事故でもいいから釣りたい朕は沖側にリップレスクランクを打っていたが、いつまで経ってもベイトが浮いてくることがないことにオープンウォーターを諦め、しからばとダウンショットリグを組み、水深のある岸際をゆっくり引いた。ここを通るスモールマウスの目に止まれば幸いだ、程度の感覚である。
 張横や下野さんの友人といった、かつての“ヤングバサー”たちとのここだけバスバブルな会話に、やがて釣果のことなどどうでもよくなっている頃、不意にバイトの感触を得る。
 ヒットしたのはナマズだと判明。ラインが細いため、慎重なファイトを心掛けていたが、取り込み時にメインラインを押さえるというトライリーン使用時の癖がでてしまいラインブレイク。
 これを見ていた李立と施恩は嘆息し、「キャスティング行って来ます」と撤退。
 陽が落ちる頃になってようやく小魚が浮き始めたが、すぐに17時を迎え、朕も帰宅準備。

 諦めと停滞の時に出会った偶然をモノに出来なかったことを悔やんだが、当然他人には「オレはガチじゃねえからよお」と、止せばいいのに強がりを言い、そのヘボっぷりを指摘されればブチキレるというレジェンド流“大人の対応”をすればいいだけのことさ、と安んじて帰路に就いた。
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tag : 多摩川 ルアーフィッシング

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Author:dragon
天に替って道を行おうとする人。
玉帝の導きに従い、非凡なる境地を目指している。

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