伝説亡き地

 11月28日。

 「何で今日も登戸に?」「昨日釣れたから」と言いたいところだが、降るアユの集団にナマズが付くという自然の法則に当てはまる場所が登戸であったからというのが本当の理由だ。
 しかし、今日は土曜日。
 釣り人が多ければリトリーブコースが限られてしまうおそれがある。釣り人が少ない宇奈根でやろうかとも思っていたが、今日は李立の弟子が来るとのこと。
 「バカ弟子ですよ」とは言うが、朕のバカ弟子、郁ほど始末に負えないわけでもあるまい。植野行雄であるということにいささかの興を覚え、まずはその弟子を拝んでから打つべきエリアを決めればいいか、と結局登戸へ向かった。
 
 道中、水道橋の上から川を見れば、水は昨日よりクリアになっていて、より詳細に地形を見ることが出来た。
 シャローフラットは狛江側から川崎テトラ帯までわずか十数メートル手前まで張り出しているのではないかという感覚で、水深のある場所がかなり狭まっていた。
 見た目に深い場所とカバーが絡むところが魚の通り道になるだろうから、そこにルアーを置いておけばそのうち釣れるように思われた。

 川岸に下りてみれば、先客はルアーマン一人、エサ釣り師一人。
 この程度の人出なら、ここに腰を据えるのがベターだろう。
 昨日に引き続き、シャローにアユは涌いている。だが、橋の上からシャローにナマズの姿は確認されなかったこともあり、ダウンショットリグを組み、水深のあるテトラ帯アウトサイドを通るように、トリックワームを引いて行くことにした。
 夜から朝の冷え込みと、クリアウォーターであるためのプレッシャーを考えれば、レンジは深めで良いだろう。
 着底させてはスイミングさせ、浮いてはフォールさせ、という具合に流していたところ、陽光差し込む川底の溝部分にナマズの姿を発見。
 腹を底につけてじっとしている。
 ダウンショットではベイトを目の前に置くことができないし、スイミング用のジグでは石留めの網にフッキングしたり食い込んでしまう恐れがある。
 このような場面ではレジェンドⅡが大好きなジグヘッドワッキーという手がある。ちょうど1/32オンスのインチワッキーがあったのでトリックワームをジグヘッドに付け替える。
 しかし、20lbリーダーに1/32オンスジグヘッドというバランスの悪さが災いして、特に流れがある中ではうまい具合にコントロールが利かない。
 一投目、遠すぎる。
 二投目、ルアーを見失う。
 三投目、今度はうまく行ったか…と、アユの大群がやって来て、ナマズもルアーも覆い隠してしまった。
 そして、アユの群れが通り過ぎるとナマズの姿は消えていた。
 ほどなくして、アユの通った後を泳ぐナマズの姿を発見。スイッチが入ったようだ。
 急ぎ、Bフォロワー、ルドラをキャストしてみたが無視され、そのうちナマズの姿そのものが消えてしまった。 
 その頃から、アユの数は昨日より増えたのではないかと思えるほど群れの往来が頻繁に見られるようになっていた。
 李立が到着。
 先客の少年こそが、李立の弟子の植野行雄だと紹介される。
 カナモJrと変わらないですよ、とのことだが、ハンサム顔だし、親しみを見せればしゃしゃり出てくるというあつかましさも無いので第一印象は良い。
 釣りの上手さには、初心者に釣らせること、釣れる人に育てられる、という要素もあると思う。果たして、李立は植野君に「突き落としてやろうか」とか「おめえばっかポイント独り占めしてんじゃねえよ!」と、キレる日が来るのだろうか。
 再び川に目をやれば、アユはどんどんシャローフラットに入ってきている。
 アユの群れが通った後にナマズだけでなく40クラスのラージマウス姿も見え、60クラスのナマズに追い散らされていた。
 アユを食い漁り、競合種を蹴散らすほどに獰猛なナマズも、ルアーに対しては神経質で、目の前を通るルアーは看破されたり、無視されたり、逃げられたりという有様。
 通常の誘いでは釣れないと見るや、李立はスピナーをフォールさせてサイトフィッシングを成功させる。
 レジェンドⅡに僻まれるだけの上手さが光る一尾というものだった。
 秦明到着。
 この頃になると、ナマズ、ニゴイ、コイがルアーに反応するようになってくるが、誰もフッキングまでには至らない。
 ナマズは来ているのに釣ることができない。ならばどうするか…と、李立はライブベイトを使い始めた。
 下野さんとその仲間もやってきて、ライブベートフィッシングの行く末を見守る。
 エサを使ったからといって誰でも釣れるというわけではない。安易に「エサなら簡単に釣れる」と思っているルアーマンがエサを使ったところで釣れはしないだろう。
 結局、李立はライブベイトで二本のナマズをキャッチ。
 ルアー組は「釣れましたか?」「アタリはあるよ」に止まる。
 夕暮れと共にナマズの気配は薄れていき、完全に陽が落ちる頃には諦めムードが蔓延し、解散となった。
 かつて登戸名物であった三輪バギーは今日も見られなかった。

 同日、芦ノ湖へ行っていた史進からメール着信あり。
 シュマリ11Fでの釣果とのこと。
 朕にとってはシーバス、ナマズ用のベイトとなっているが、そもそもトラウト用として売られていることを思い出す。
 ビッグトラウトは釣堀でしか釣ったことのない朕は、当然「オレはおめえと違ってガチじゃねえからよお」と、僻んでやった。
スポンサーサイト

テーマ : お仕事奮闘記
ジャンル : 就職・お仕事

tag : 多摩川 ルアーフィッシング

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

プロフィール

dragon

Author:dragon
天に替って道を行おうとする人。
玉帝の導きに従い、非凡なる境地を目指している。

最新記事
月別アーカイブ
リンク
検索フォーム
QRコード
QRコード