ロスト・イン・ラマンチャ

 9月26日。

 昨日の登戸エリアの減水ぶりからすれば、今日は必ずや堰は閉じられ、水位が回復し、馬の背周りの流れが緩み、アユが絡めば第一ワンドにナマズが入ってくるだろう。
 一方で、役所仕事のことだから、管理事務所が休みで堰が開放されたままということも考えられる。その時は浸かりで狛江中洲に渡ろう、というわけでウェーダーを持って登戸へ向かう。

 現地には師匠、李立、シャッドマン、張横、セニョールといった面々。
 水位は回復しており、夕刻からのポイントを第一ワンドと定め、週末の多摩川の川辺をのんびりと過ごす。
 セニョールと、朕の身の上に降りかかり続ける不運について話し、また、間断の無い隷属的な労働力の提供があらゆる階層で常識となっている日本社会を嘆いていたところ、スペインへの移住を勧められる。
 曰く、金がなくても何とかなるし、釣りも楽しめるとのこと。
 いずれ、杉並か府中にでも移住しようと考えてはいたが、そんな案が出ようとは。心は揺らいだが言葉の壁という大きな問題があるので踏みとどまる。
 しかし、セニョールの嬉しい申し出に「ギエルモ・デル・トロ!」と答えたところ、「それはメキシコ人だ」というツッコミが入る。
 遍歴の騎士道精神はとうに失って久しいが、あの頃学んだ知識がこういったところで役に立っている。
 やがて馬の背周りではボイルが見られるようになり、下野さんもやってくる。
 朕はこの一帯のスモールマウスのセレクティブぶりにお手上げ状態のため「正解はお前らに任せた」と、レジェンドⅡなカッコつけをして傍観。
 ほんとに釣れるんかいな、と見ていたところ張横がキャッチ成功。
 オッサンたちが興奮し駆け寄る様はたいそう滑稽だったに違いない。しかし、バスには当時青年だった連中を幸せにする不思議な魅力があるのも事実なのだ。

 光量が落ちてもボイルは続いていたが、朕はワンド寄りに移動し、ナマズを意識した釣りをしていた。
 ベートフィッシュの濃さは日中確認済みだったので、いずれ魚はやってくると自信を持ってのキャスト。
 完全に陽が落ち、月光が水面を照らす頃、スモールマウスを諦めた李立とセニョールがやってくる。
 さっきのエスパニョールの話はまだ続いていて、6、70センチのコイをライブベイトにした大ナマズ釣りの話を聞きながら、多摩川ナマズの返答を待つ。
 良い条件が揃っているのだからいずれ誰かが釣る。そう思っていたが結局誰も釣れず、エリア選択の誤りを悟る。流れの道筋と魚の動きを読みきれてないための結果というものだ。

 一方…。
 同日、ドブへ行く機会を得ていた施恩からシーバスとカマス好釣との報あり。「突き落としてやろうか」としか言いようのない結果を見せつけられてしまった。
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ジャンル : 就職・お仕事

tag : 多摩川 ルアーフィッシング

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Author:dragon
天に替って道を行おうとする人。
玉帝の導きに従い、非凡なる境地を目指している。

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