陳利大哥かく語りき

 9月5日。

 土日に休める機会を得た。
 長く続いた雨による冷えと、夏から秋へという時期にあって多摩川ナマズを狙うのに苦労している現在だが、一方で湾奥の水は改善されている可能性がある。
 史進にこの日の都合を聞いてみたところ、時間は読めないが釣行可能とのこと。
 ドブが良くなってくるのは9月半ば頃、台風が去り、秋の入りが明らかに感じられるようになってからと認識しているが、年々ちぐはぐに感じられる四季の動きに、今時分はこうであるということが判断し難くなっているので、まずは行ってみようというわけである。

 以前から気になっていた、多摩川河口部土手を目指す。
 ここは今から十年ほど前に来たことはあるが、当時愛用していたテクナAVライトクランキンモデルを二、三投で後ろの小屋にぶつけて折ってしまい、ろくに釣りも出来ず帰ったという経験がある。
 まずは最寄の駐車場はどこか。そこからポイントまでに要する時間はどれほどか、といった実釣以前に知っておかなければならないことがあった。
 クルマを置いても問題無さそうなスペースのある地区だが、世の中から寛容さがどんどん失われていく現代にあっては、こちらも敵地に赴く気構えでいなければならない。
 嘘つきとビッチだらけの社会では世相の改善も望めない。アナーキズムでも吹き荒れて欲しいものだ。
 上海ジョーは、奴隷的労働力としてアメリカに連れてこられたメキシコの農民を助けてこう言った。
 「飢えても奴隷よりはマシさ」
 そんな話をしつつ、足早にポイントを目指したつもりだが20分以上30分未満の時間を要した。
 ポイントに辿り着く頃にはほぼ潮止まりの時間帯。
 地形変化以外に窺い知れるものは無く、長い道のりを再び徒歩で引き返すことにげんなりするだけだった。
 釣れる状況にあるのかどうかを、現地の様子を見てから判断するには分の悪いポイントであるため、今後、自らの意思で行くことは無いだろう。
 しかし、この一帯は実績のあるポイントなのだろう。何人ものアングラーが川に浸かっていた。

 再び潮が動き出すまで一時間近くある。
 そこで、ロッドを持たずにドブの最奥部の水の状態をチェックしておくことにする。
 ケミカルワンドの排水門やどん詰まりを見たところ濁ってはいたが表層は澄んでおり、まったくの死に水ではなくなっていた。
 水面をよく見てみれば2、3センチの小魚の大群が居る。おそらくボラだろうが10センチ前後の小魚の動きも顕著だ。
 ボラは水が悪くても活動が見られるので、あてになる指標ではないが、水色と併せて考えれば、捨てたものでもないのではないかと判断し、潮が動き出すのを待つことにする。

 22時を過ぎる頃を見計らってホームレス公園に入ってみる。
 新鮮な水の入り難い場所だが、ここで釣れるようならドブは復活したと断言できる。
 さて、現在はどんな状況にあるのか、と入ってみたところ、水面に小魚の大群の存在は明らかだった。
 この下に、こいつらを窺うシーがいるのではないかと探りを入れてみるが反応は得られず。
 ならば、「※1めえばっかポイント独り占めしてんじゃねえよ!」とレジェンドⅡが李立にブチキレていたポイントはどうか、と向かってみたところ進行不可…。
 である以上、ここで粘ってもしょうがないだろうということで、多摩川河口が近いケミカルワンド湾口部を目指す。

 移動先もまたベイトフィッシュの気配は濃厚。
 10センチ前後の魚が目立つ。ボラだけかと思っていたが、史進がやはり10センチ程度のよく肥えたサヨリを引っ掛けていた。
 沿岸には小魚が大量に入ってきているようだ。
 しかし、ここでもシーの息遣いが聞こえない。
 更に待てば、と思わなくもなかったが、もう一段事態が進んでからの方が良いのではないかという考えが支配的になり撤退を宣言。

 「パンが食べられないのならケーキを食べればいいじゃない」という王妃の言葉に心服する朕は、ブラックが釣れないならシーを、という思いでやってきたが、その挑戦は※2ザとなってしまった。
 既に24時も近く、龍盛菜館での食事は諦めなければならなくなっていたが、「メシなんか食わねえぞ!」とブチキレることもなく飯を食っての帰宅。
 そんなドブチャレンジに終わったこの日、日中の多摩川を打っていた施恩はしっかり魚をキャッチしており、ナマズを諦めていた己の見立ての甘さを思い知らされることとなった。

 ※1、光量の多い場所でのルアーの見え方について考えが及ばなければ、ポイントをぶんどったところで無意味な場所
 ※2、マー語
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テーマ : お仕事奮闘記
ジャンル : 就職・お仕事

tag : 多摩川 ルアーフィッシング シーバスフィッシング

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Author:dragon
天に替って道を行おうとする人。
玉帝の導きに従い、非凡なる境地を目指している。

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