口上を用意し負けに備える

 8月12日。

 先日はナマズの顔こそ拝めたものの、朕自身は連続ノーフィッシュという結果に終わり、愛人を狼少年に殺されたウェズのごとき心境に陥っていた。
 これ以上のノーフィッシュは避けたいところだが、結果は当日のフィールドコンデション次第という面もあるので、中潮だからといって油断は禁物。
 釣れなければきっとヘボいと思われてしまうところだが、釣れなかった時に己のヘボっぷりを誤魔化す優れた手法はレジェンドたちの言葉から学ぶことができる。
 先日、でセントクロイ・トライアンフ86MHのスピニングロッドを購入した。まだ実釣テストしていないのでこれを持って行こう。
 予め「今日はトライアンフで釣れるかの実験」と言っておけば、たとえ釣れなくても、レジェンド的思考回路なら「実験だったんだから釣れなかったとしてもしょうがないよ」という流れに持っていくことが出来るだろう、というところに、底は浅いが相応の巧妙さは感じられる。
 かくしてこの日はセントクロイのトラウトロッドを持って五本松に向かった。

 先ほど降っていた雨の影響で五本松は増水していた。
 新しい水が入って来るのはプラス要素だが、同時に流れに混じって入って来るゴミはリトリーブの妨げとなり、マイナス要素となる。しかし、魚の活性は上がるのでプラスの方が勝っているという状況である。
 何はともあれロッドの吟味を、というわけで、ロッドの適応範囲を測るためにキャロライナリグを組んでみる。
 感度という点では問題ないが、ロッド全体の張りという点でボトムを取るワーミングには向かない味付けだ。ルアーに与える動作に対し即応性が欠くので引いてきてストレスを感じる。この味付けは、トップウォーターやジャークベイトといったロッドワークを必要とするプラグにもマイナスで、長いレングスということも含め、あくまで巻き専用のロッドのようだ。
 重量のあるベイトを背負えるので、遠投を必要とするシチュエーションでのシーバスゲームには良いだろう。
 となると使えるベイトは限られてくる。用意してきた様々なルアーの試しを諦め、今朝ランカーズから届いたラパラ・バルサエクストリーム・ウェイクミノー、3/4オンスを結ぶ。重いベイトを背負うのを苦としないスピニングロッドに、ストレートリトリーブで使うベイトの組み合わせだ。
 次はロッドパワーのテスト。
 追われる小魚の周辺にキャストし、魚食モードのコイをキャッチ。
 ロッドパワーは十分にあり、よく粘り、立ち位置を変えることなく魚を寄せてくることが出来た。使っているラインが強いということもあるが、ロッドが持っていかれるような不安は感じない。
 国内某有名メーカーのソルト用ルアーロッドでコイを掛けたレジェンドⅡは「ごめんなさい、ごめんなさい」と喚きながら川を上下して長い時間を掛けてキャッチしていた。ロッドに問題があったのか、単に使い手がヘボかっただけなのかは知る由も無いが、このトライアンフはそれほど大きくないコイ相手に大騒ぎすることもない、ルアーロッドとしての当然の性能を有していた。

 どんなロッドかわかってきたところで、陽が落ちてきたこともあり、“本気”でナマズを狙い始める。
 他の釣り師たちが帰りだしている頃、下流側を流していたルアーマンに話しかけられる。
 ナマズ狙いであると答えたところ、「ひょっとしてあなたはドラゴンさんではありませんか?」と尋ねられる。
 ばれてしまった。
 特に隠しているわけではないが、やはり照れはある。
 しかもこの御仁、三年前から見ているというヘビーな読者であった。
 朕はすっかりおそれいってしまい、中潮の今日、現在釣れていないことのヘボっぷりを誤魔化すための逃げ口上をレジェンド語録に求めたが出て来ずじまい。
 一通りのあいさつと多摩川情勢について話し合い、読者氏は撤退。朕も帰宅予定時刻が迫っていた。
 水面からは魚の入りを確信できるものを得られなかったが、とある緩みのスポットでバイトが出る。
 サイズこそ小ぶりだったが、新規購入のロッドに本命入魂ができたことで満足し帰路に就いた。
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テーマ : お仕事奮闘記
ジャンル : 就職・お仕事

tag : 多摩川 ルアーフィッシング

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Author:dragon
天に替って道を行おうとする人。
玉帝の導きに従い、非凡なる境地を目指している。

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