LEGEND OF HEBO

 5月22日。

 この日、義士との合流予定となっていた。
 朕はとりわけ釣りが上手いわけではないが、プロでもトーナメンターでもない素人が、普段の生活の中でつつがなくルアー釣りを楽しむためのノウハウをよく心得ていて、耳を傾ける者には釣果をもたらしてやることが出来る。
 中には、レジェンドやモンスターもいたが、通常の人なら必ずやこれまでより釣果が伸びること請け合いだ。
 かつて、通りすがりにルアー釣りの要諦を説明したことがある義士もその一人だ。今では朕も「突き落としてやろうか」と言うほどに釣っている。

 今日もあの素敵なレジェンドの言葉を発しなければならないのか、と思いつつ、出発が早かったこともありエサとルアーの二本立てで登戸に向かった。
 この日は師匠より先に現地入りしエサ釣りの準備。まだ好適な状況にはなっていないと知ってはいるが、シーズンインの前から、小魚にエサのある場所はここだと刷り込んでおきたかったためだ。
 師匠が到着し、事の経緯を話したところ「なるほど」との仰せ。
 予測される結果はともかく、間違った行動ではなかったということに安堵。
 気付けば後ろに義士。
 小物釣りにも興味を持ったようで、師匠からレクチャーを受けていた。エサ釣りに関しては義士の方が先輩であることも判明。
 それはそうと、結局エサ釣りのほうは上流で本流側打っていた釣り師が好調だっただけで、岸寄り組には何事も起こらず。
 あまりの気配のなさにしびれを切らしルアー釣りに切り替えようかという頃、李立到着。
 改めて登戸エリアを見渡し、朕がエサ釣りに興じている間の状況を聞いてみたがどうも芳しくない様子。
 ならば、まだ早い気もしたが、流れという強い要素が明らかで、アユを始め、魚たちの活発な動きが確認されている堰下へ移動しようと提案。
 まだハードベイトでキャッチに至ったことのない師匠にも、ハードベイト釣果を得られるチャンスになるだろうから、と師匠も伴っての移動となった。

 堰下エリア到着。
 義士と李立は上流側の最も激しいぶつかりの生じるポイントを、朕と師匠は太い流れが一度緩むポイントに、と二手に別れて打つことにした。
 到着時はまだ十分に光量もあり、とりあえず程度のキャスト続けていたが、飽きてきた朕は上流側へ行き、様子を聞いてみたところ義士がナマズを一匹キャッチしたとのこと。
 まだ釣れるには早いでしょう、と予測していた時に釣られてしまったので言わなければならなかった。
 「突き落としてやろうか」と。

 下流側に戻り、師匠に状況を報告。
 やがて五時の鐘が鳴り、いよいよ“本気出す”べき時間帯に入る。
 とはいえ、このポイントは上流側ほど流れのぶつかりが作り出すカバー効果は期待できないし、光量も昼間に比べ落ちてはいるがまだ十分に明るい。
 師匠はこれまで投げていたダイソーミノーから、若干レンジの深いビーフリーズにチェンジ。
 確かに良いルアーだが、ここで釣れたのはシンキングのビーフリーズ78Sであって、78SPではない。レジェンドには「釣れてる奴の真似しねえと見えてくるものも見えて来ねえぞ」と否定されてしまうようなベイト選択である。
 勿論、ルアーとはシチュエーションベイトであるからそんなことはないのだが、こんなことを真顔で後輩アングラーに語るベテランもいたりするのでふざけてみた。
 時間的にはまだ早いかな、とも思ったが、何とか師匠の集中力が続くうちに魚が入ってきてくれ、と焦りが生じてくる。
 そしてそんな心配は結局杞憂に終わる。
 気付けば師匠が何やら魚を掛けていた。
 寄せてみればしっかりナマズ。
 嬉しい反面、ナマ道先輩の朕を差し置いて釣るとは…と、ランディングを手伝い、魚を取り上げ「突き落としてやろうか」と、朕が立ち上がった瞬間、足を滑らせた朕が落水してしまった。
 初のハードベイト釣果に、皆「突き落としてやろうか」と祝福の言葉を贈り、師匠は遅くまで残った甲斐があったと言って撤退。
 残った我々も「もしかしたら釣れるかもしれねえじゃねえかよお」というレジェンドの言葉に支えられ、否、潮止まりまで十分にチャンスはある、とキャストを続けていた。
 そしてここでは朕がキャッチ成功。
 勿論、バイトが出るまで時間はかかった。
 しかし、多くのネタを提供してくれたレジェンドたちのお陰で、我々は退屈せずに潮止まりまでの時間を過ごすことができたのだった。
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テーマ : お仕事奮闘記
ジャンル : 就職・お仕事

tag : 多摩川 ルアーフィッシング

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Author:dragon
天に替って道を行おうとする人。
玉帝の導きに従い、非凡なる境地を目指している。

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