ワーキングホリデー

 2月19日。

 今日から三日連続でワークが可能になった。

 初日は多摩川にスモールマウスを、と現地に入れば川岸はかつてのバスバブル期を思わせる人出。
 居並ぶアングラーもあの頃の“ヤングバサー”たちばかりだ。先日会った田辺イズムも今ここでは若手だろう。
 アメリカンルアー愛好者らしき村越正海に挨拶がてら話を聞いてみると、上流側に居るアングラーがスイムベイトで40アップを釣ったという。
 これは興味深い、と上流側に行って釣った本人の話を聞きにいく。近くには義士の姿もあった。
 スイムベイトをボトムまで沈めバイトに至らしめたという。バスは引き続き“攻撃的なムード”にあるということか。
 口を使わない魚を相手にしたり、魚の居ない所で釣りをしたところでルアーは役割を果たせない。
 アラバマリグといい、スイムベイトといい、その実際の効力や使うべき場面をこの多摩川で知ることになるとは思いもよらぬことだった。
 朕は波立っては巻き、穏やかになってはボトムを引きというコンビネーションを続けていたが魚の反応は得られず。
 やがて李立やセニョールも現れる。
 セニョールはボトムを丹念に流し、李立は機を見計らってはアラバマリグをキャスト。
 やはり魚が入ってくればコーリングアップの釣りに分があるようで、セニョールは1本、李立2本という結果。
 先日までの勢いは無くなってしまった感があるが、魚がスレたというより、スモールマウスのグループ全体の動きに季節の進行に伴う変化があったと朕は見ている。
 一方、朕は巻きの釣りに専念していたが、巻き抵抗の強いルアーを速巻きしまくったのが祟ってか、エアノスのギヤが故障。かつてシーバス狂オヤジがこのメソッドにはステラじゃなきゃダメだと言っていた意味をようやく理解した。
 しかし、5000円で購入し、ノーメンテで5年保ったのだから十分だろう。

 結局朕はノーフィッシュに終わってしまったが、'90年代バブル期のフィールドのような情景にバスフィッシングの喜びを味わうことができた。

 2月20日。

 エアノスはイカれてしまったが、まだナスキーがある。
 明日のドブ釣行はシーバス用にエアノス、メバル用にナスキーというつもりでいたが、どちらかに重きを置いたセッティングで臨まなければならなくなった。
 何はともあれ、まずは今日に当ることを考えなければならない。

 多摩川到着。
 昨日ほどの人出はなかったが、李俊、施恩の他に、田辺イズム、スイムベイト遣い、そして義士とセニョールの姿もあった。
 多摩川バサー懲りない面々といったところか。
 義士の話では、今日堰下にマルタの群れを見たという。既にフライマンが何人かきていたとのことだから、近いうちにあのバカ釣りができるのかもしれない。

 ポイント周辺に朕が入り込む余地は無かったので、ブラック以外の魚はどうかと一帯の様子を見て歩くことにする。
 テトラ帯には魚種不明の稚魚の塊、婚姻色の出たマルタを二尾、ミシシッピーアカミミガメの姿もあった。
 「父も母も亡くなり、私はひとりぼっち」
 「耳を澄ましてごらん。鳥の飛ぶ音が聞こえるな、魚の跳ねる音も、カブトムシもいるな。このようにたくさん友達がいるではないか。お前はけっして独りぼっちではない」
 生き物たちを見ているうちに、ケインとポー先生の会話を思い出し、生き物は人間にとってみんな親しい仲間だということを知ることができた。

 特に何を狙うでもなく一帯をうろつきつつ、だべくりつつしていた頃、施恩がスモールマウスをキャッチ。
 単発の気配漂う一尾で、これまでの大型とは動きを異にする個体と思われた。季節が進み、このサイズの動きも活発化してきたということか。
 ただ釣るだけでなく、一匹の魚から現在フィールドで起きていることを考えるのは釣りの醍醐味のひとつである。考えた先に得た一尾は格別の喜びをもたらす。
 さらに上流側を見れば、義士がファイトしていた。
 スレ掛かりかと思っていたが、寄せてみれば口掛りであることが判明し、関東巨鯉倶楽部達成。
 義士の落ち着いたやりとりに、これまで練ってきたものの確かさが窺い知れた。

 施恩撤退後、李立到着。
 もはやオビワンでは太刀打ちできず、ヨーダでも持て余すアナキンが来てしまっては、朕の取り分はもう無い。
 また、今日はダイナミックなスモールマウスの動きを示すインフォメーションは何ら得られていない。そこで朕は、釣れるかどうかは別にして、堰下の様子を水中の見える光量があるうちに見に行くことにした。

 堰下エリア。
 護岸沿いを歩き回って見える魚はコイだけだった。やはり今来ているマルタは先触れ程度のもののようだ。
 とりあえず、ここでも口を使う魚なら何でもというつもりで流していくが反応は得られず。
 やがて李立と義士が合流。
 登戸は不発だったとのこと。
 こちらも同様であるため、納竿し、しばしの釣り談義。
 ノーフィッシュは悔しいが、わかっている者、わかろうとする者との会話は楽しいというだけでなく、必ずや次回に生きるヒントを得られる有意義なものだ。

 2月21日。

 既に扇島周辺にシーバスが来ているという情報はえっている。バチヌケは早い時期から起こるというのは既知のこと。
 問題はいつ湾奥まで入ってくるかだが、これまでに何度か温暖な日はあった。やや沖合に居たシーバスが湾奥に入ってくる可能性は十分に考えられる。
 ドブのパターンはわかったという者もあるが、このポイントでこのルアーを使えば釣れる、というのはゲームフィッシングに於けるパターンとは違うということを知る我々は飽かずに、機会さえあればドブへ通うのである。

  秦明、李立、施恩と合流。
 バチは抜けていて、湾奥にシーが入り込んでいるという前提の元スケジュールを組んではいたが、メインベイトがボラの稚魚であったり、まだシーが接岸していないということもあり得るが、そうなった場合の対応策も準備してある。

 この日、既に李立は40アップのスモールマウスをキャッチしていて余裕の体。
 しかし、小学生二人組にスケールを盗まれたらしく、ご立腹でもあった。
 生きるためでもなく盗みを働くような奴は、ガキだろうと手を切り落とすべきだと朕は思っているが、残念ながらこの国でそれは禁じられている。

 現地入り。
 まずはケミカルワンド。
 アクセス容易な場所であり、この場所の一部を見れば一帯のシーバスの動きも粗方想像はできる便利な場所だ。
 常夜灯に照らされた水門周りには1~2センチの稚魚の大群。時間の経過と共に数を増していくバチ。これだけ生命感が濃いのならシーバスも来ていると見ていいだろう。
 そして機はやってきた。
 やはり魚はバチに意識が集中しているようで、李立はフッコ2本、セイゴ3本、マルタ3本という釣果を得てトップの成績。
 施恩はセイゴ5本、マルタ3本と数では並ぶもサイズで及ばず。
 秦明はマルタ3本、セイゴ1本。朕はセイゴ1本、マルタ1本という結果。
 感触としては、シーよりもマルタの方に勢いがあり「釣れましたか?」「アタリはあるよ」状態となっていた。そして、シーもマルタもバチをイミテートしたルアーにアタリが集中していた。

 潮位の低下と共に魚が遠のいたので、他の可能性を探るべく、水深のあるホームレス公園へ向かう。
 しかし、着いてみたところ、ここは存分に攻めきれる状態に無く、とりあえず全員が結果を出したということに満足しストップフィッシング。

 理想の状況、理想の展開とはならなかったが、状況を読めず的外れなことをしているがために一人だけ釣れなくて「メシなんか食わねえぞ!」とキレる者が出るような流れにもならず、滞りなく龍盛菜館で締めることができた。

 ※マー語
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tag : 多摩川 ルアーフィッシング バスフィッシング シーバスフィッシング

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Author:dragon
天に替って道を行おうとする人。
玉帝の導きに従い、非凡なる境地を目指している。

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