その後のホーファン

 2月4日。

 カン先生はおっしゃられた。
 「大工が家を建てるとき、たまたま曲がった釘を手にする。大工は全ての釘が曲がっていると思い家を建てるのをやめるだろうか」
 朕が少林寺の僧ならこう答えるだろう。
 「でも先生、その釘のほとんどが曲がっていたとしたらどうすれば良いのですか」と。
 やはり朕も寺を追い出されてしまうのだろうか。
 そして現実には曲がった釘だらけであり、とても家を建てようという気にはなれない。

 ジーザスは例え話をするのを好んだようだ。

 昨日はせっかくの休日でありながら、寒さのためワークを断念。
 「何もかも消えちまった。頭にくるじゃねえか、べらぼうめ!」とショーン・モロヘヤ状態。
 民間軍事会社もビジネスとして成立しないことが実証されてしまった。
 娑婆に身を置いていては心が荒むばかりである。
 そんな折に多摩川でワークを行っていた施恩よりメール着信あり。
 40アップを含む2本のスモールマウスをキャッチしていた。魚はしっかり決められた通りに動いている。
 明日は著しい下降の予報だが、状況次第では“本気”を出せるかもしれない、と心が弾む。

 2月5日。

 今日は本気出すぞ、と帰宅後空を眺めていたが雲行きが怪しい。
 予報通り雪が降ってしまった。
 濡れるのが必至の寒さに出る気力が失せ、ラッキークラフトの会員ルアーが届く頃には眠気もピークに達しグロッキー気味。
 寝床に就いてしばらくすると興奮気味の施恩より「50釣りましたよ!」と報が入る。
 張横に続く快挙。
 人間にとっては厳しい状況でも、自然界の法則は確実に作用していたことが示される。
 しかし、朕の体調は本復せず、半日以上を昏睡状態で終えてしまった。

 2月6日。

 昨日の施恩の釣果を見て、かつて自分が釣ってきたビッグバス(といっても50を超えるバスは一匹も釣ったことがないのだが…)を思い出していた。
 春のデカバスは人間にとって厳しいと感じられる状況の中で釣れることが多かった。
 偶然?いや、そうではない。40より先の数センチの違いは偶然の結果だが、先人たちの教えに習い、追体験していくことによって得たものだ。

 当然この日は朕もスモールマウス狙いに出る。スモールマウスは年間を通して追いきれない魚。よって魚が集まるこの時期は、多摩川ナマ師の朕もバサーに戻る。
 「昨日ここで釣れたから」のポイントに入るわけだが、何故実績場所となっているか知っているためのポイント選択だ。
 この日はこのポイントに張り付くつもりでいたので、いつも重視する機動性を捨て、キャロライナリグ用にオールスター・ASR866C/JIG&FROGと、巻き用にUSAシマノ・コンプレ702S/JIG&WORMのスピニングタックルを持ち込んだ。
 どちらのロッドもワーム、ジグを謳ってはいるが大抵のメソッドに対応できるテーパーデザインになっている。特にUSAシマノはシーバスロッドなのではないのかと思えるほど巻きの釣りに具合がいい。
 施恩も到着。
 片方が巻けば、片方はボトムという感じで一帯を舐めていく中、水没テトラのエッジからリップレスクランクを追うスモールマウスがいたという。巻いていた本人の朕はまったく気付かなかったが…。
 しかし、他にこれといったことは起こらず、朕はポイントを上下しながら付近を流していくことにした。
 この日は水温が魚が活動するに十分な温度となっていたのか、浅瀬に現れるコイの数も多かった。
 遠巻きに魚をバラしていた施恩が見えた。
 近付いて聞いてみると、どうやらバスだったらしい。
 「何やってるん!?」とマー語で叱咤し、尚もキャストを続ける。
 こんなときこそ“根性”とやらが求められる場面だ。
 とはいえやはり途中、ダレは起きてくる。
 朕は手を休めながら気の抜けたキャストを繰り返すようになっていたが、めげずに“本気”を出していた施恩が魚をヒットさせる。
 バスでないというのはシルエットから見て取れたが、ナマズなら十分な釣果だ。
 と、寄せてみればそれはニゴイだった。
 期待はずれの結果ではあったが、施恩三日連続の釣果。早上がりしなければならないのなら、ノーフィッシュを免れただけでも良しとしよう。
 ナマズも見たとのことだが、サイトフィッシングに臨んだ時には消え去っていたとのこと。

 施恩撤退後、キャスティング帰りの李立到着。
 明日の房総シーバスに向けてから気合がへえっている。バチパターンへの対応策は朕を遥かに上回っている。
 それはそうと、今狙うべきはスモールマウスだ。
 そこへ、先日会った、多摩川は初めてだと言っていたアングラーが現れる。
 手練れの風情を醸し出していたので、あいさつしたのち、このところのスモールマウスの傾向と、このポイントを成すものについてを伝え、それぞれにキャストを続ける。
 光量も落ち、そろそろ撤収を考えていた頃、先ほどの手練れ風アングラーがバスをキャッチしていた。
 一見して40アップだとわかる。
 しかもシャッドラップを丸呑み。
 「よくわからなかったんでこれ巻いてたんですよ」と謙遜気味に答えていたが、わからなくなったときに使うベイトを知っているあたり、わかってらっしゃる方だというのがわかる。
 しかも正確なサイズは48センチだということで、我々はすっかり恐れ入っての終了となった。

 ※マー語
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tag : 多摩川 バスフィッシング ルアーフィッシング

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Author:dragon
天に替って道を行おうとする人。
玉帝の導きに従い、非凡なる境地を目指している。

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