トンノー

 10月13日。

 見た目にも体感的にも下り坂。
 台風接近も、この時期はプラスにはならない。
 下る一方で、安定の期間が無いという感覚だ。
 一応時間はあるので定点観測のつもりで登戸へ。
 水勢はこれまでと変わらず強いまま。
 この状況で魚を得ようと思ったら、突出したプラス要素を発見できなければならないだろう。
 やがて雨は本降りになる。
 台風の勢力が強まる前に撤退し、ただ川を眺めてるだけの時間になってしまった。

 10月15日。

 台風は去ったが状況は好転せず。
 しかし、時間はあるので様子見とばかりに、宿河原堰直上ポイントへ。
 中野島堰から宿河原の堰までをひとつの流域として捉えれば、ここが最下流部であり、流されてきたものがここに溜まる。
 流れの筋には、大規模なとはいわなくとも少なくはないアユの群れが居る。緩み、カバー等、揃うべきものは揃っている。このポイントの現在の重要度は別として、他に良いポイントも思い浮かばないので、時間をかけてじっくり探ってみることにした。
 ダウンショットとキャロライナを使い分け、丁寧な誘いを心掛ける。
 限られたポイントを何度も通すことになるため、アトラクターは弱い方が良く、しかし魚に発見されなければ話にならないので存在感もあるルアーでなければならない。
 と、探りを始めるが、この日は雨が冷たすぎた。冷やされた手がルアーチェンジを行うのもままならなくなり、一時間弱で撤退。

 10月17日。

 堰間流域という魚の往来を妨げ、魚を限られた場所に閉じ込めているような条件。通い込み、おおよその構成は把握しているはずのフィールドでさえ当りの場所を見つけられない。
 たまにしか行かないバスフィールドで苦戦するのも当然だということを思い知らされる。
 正解の場所を見つけてから始まるのが魚釣りである。

 今日は天気が良いので師匠が来ているかもしれない。
 ルアー歴は短いが、ゲームフィッシング歴の長い師匠の話を聞くだけでも行く価値はある、ということでこの日も登戸へ向かった。

 陽の当るところは温かいが、風が吹き付ければすぐに寒くなる。穏やかな秋の日和を味わう間も無く秋が深まってしまった。
対岸にはウォーターマフィアの構成員たちが現れ、悪事を画策している。狙撃銃が欲しくてたまらなくなる光景だ。
 
 師匠は今日もルアー釣りをしていた。やや離れたところにはシャッドマン。
 水勢は相変わらず強く、拠り所となるような変化は見つけられない。
 スモールマウスを意識したボトムレンジ攻めをしていたが、思考は既にナマズを狙うならどうすべきかというところに進んでいた。

 やがて李立がこちらへ向かうという報が入ると同時に、昨日の釣果が添えられてきた。
 釣りにくくはなっているが、魚はしっかりこの流域に残っていることが示された。

 さて、今日はどこを打つべきか。
 現在の地形と流れの関係、目に見える生き物たちの動きからすれば、対岸の人妻ヶ浜かというところだが、終始吹き続ける北風。
 すべての条件が揃って初めて魚釣りが成立するということは証明済みの事実。探ってみて初めてわかるということもあるが、現在捉えられる情報からは探るだけの価値はないというものしか得られない。

 夕刻近付く頃、師匠が帰宅し、李立が到着。
 昨日のナマズについて詳細を聞くが、偶然回遊に当ったものであり、ヒットしたポイント周辺が正解のものであったかどうかは疑問とのこと。
 相変わらず北風が吹き続け好ポイントを見つけられず、もう釣果は諦め、このところノータッチだった宿河原堰下エリアの様子を見ておこうという流れになる。

 宿河原堰下は堰開放の影響で、激しい流れが一本調子で続き望み薄。
 間を置かずやってきた二度の台風の降水量を思い知る。

 更に下流へ下り、宇奈根まで行ってみたが、上流側と変わらず掴みどころを見つけられず。
 水勢が落ち着くまでは釣果を諦めるしかないな、という結論を得ての納竿となった。

 10月18日。

 いつまでこの絞りようのない状況が続くのか。
 ノーフィッシュが続いているが、日々の状況を見ながら通いつめているフィールドである。
 次にどうすべきかは常に考えている。
 ただルアーを投げて、釣れた釣れなかったという魚釣りごっこではなく、自然観察という遊びをしているので、同じフィールドに通い続けていても飽くことはない。
 また、単なる魚釣りという次元でのアプローチではナマズさえも満足に釣れないというところも良い。
 自然観察から得たデータを元に、今を推測し、当てはめていくゲームが出来るフィールドなので、銭が無いということもあって、わざわざ他のフィールドへ逃げる必要も無い。
 しかし、ウォーターマフィアどもがこのフィールドを蹂躙し始めたらいよいよ多摩川から逃げなければならないだろう。

 この日は長潮であり、好適とはいえない潮回り。
 期待できる日ではないが、一帯を見渡したところ、登戸エリアの水勢は落ち着きを取り戻していた。これはこれでプラス要素である。
 エリアにめりはりが出来、釣りもし易くなっている。
 これなら魚も普段通りの生活パターンに戻っていることだろう。

 朕は師匠と並び、スモールマウスの通り道となっているであろう筋にルアーを通し反応を得るが、ジャンプ一発でバラしてしまった。
 師匠が朕と同じ地点までルアーをキャスト出来ていたら師匠が釣っていたかもしれない。魚釣り自体は師匠のほうが上手いのだから。
 そんな魚だった。
 後からやってきた秦明もバイトを得ていたがすっぽ抜け。

 夕刻を迎える頃、秦明、師匠、施恩は撤退。
 朕と李立は残り、ナマ師になる。
 
 水が通常の状態に戻ったため、エリア変更はせず、増水前の正解エリアであった登戸に残留。
 今ここが正解の場所なのか、という疑問はあったが、たった一日で他の魚たちは普段通りの動きに戻っている。ナマズだけが例外ということもあるまい。
 そして、陽が沈む頃反応が出る。
 しかし、長潮のためか反応は鈍く、朕も李立もフッキングにまでは持ち込めず。
 ナマズもエコシステムに組み込まれた生き物であることの証だが、謎はある。
 長潮で動きが鈍いのはわかるが、ある時間帯に入るとシャローに上ってくる動きが見られるのは捕食のためではないか。ならば釣れてもいいはずだ。勿論、長潮の日でもルアーで釣れることはある。ならば、ルアー、メソッドの入り込む余地があるということなのか。

 この日もノーフィッシュで終えてしまったが、また一歩釣りの奥義に踏み込めたという感触を得ての納竿となった。
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tag : 多摩川 ルアーフィッシング

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Author:dragon
天に替って道を行おうとする人。
玉帝の導きに従い、非凡なる境地を目指している。

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