吉原に亀の頭を見た

 8月25日。

 先日、朕と秦明が去った後も釣りを続けていた李立と施恩は、ふんどし担ぎも伴い聖蹟桜ヶ丘近辺まで行っていたという。
 そして、施恩はスモールマウスを、李立はナマズをキャッチしていたのだった。

 一方、遥か北の地では…。
 今年は合流の機会を得られなかった楊林が、朕が友好のしるしに送ったミリオネア・スネークヘッドモデルで早速ライギョをキャッチしていた。
 かの地の気候の推移まではわからぬが、既に秋に入っている中で釣ってしまうのはさすが本職ライギョ師だ、と感心。

 他人の釣果を羨んでいるばかりの朕ではない。
 朕はバスフィッシングで習い覚えたことをベースとし、あらゆるターゲットを平らげてやろうというマルチルアーアングラー。
 次に行く場所、狙う魚は既に決めている。

 かくして、夏休みに入った楽和と休日が重なったこの日。
 まだ見ぬアルゼンチンキッドを拝むため、囚人護送車のごとき電車移動の苦も厭わず小田原に向かった。
 いつものマニラ食堂で合流。
 沼津までの道中を『JACK ASS』を見ながら過ごし、マイアヌスは大きな町だということを知った。
 伊豆獣姦道という響きに、根本敬先生の『魔性の母乳』を思い出していた頃、沼津入り。

 キングウォッチ開店までの間を、静岡のアタックファイブ、ことイシグロで過ごすのが沼津での作法。
 懐に余裕が無くても業界には貢献したい朕である。先日ロストしてしまったピンオンリールを購入し、微力の貢献。

 イシグロを後にし、キングウォッチでモツ煮ラーメンでも食おうとンションが上がる朕であったが、店から婆やが出てきて「○X…が死んでしまったので、今日は休みます」というようなことを告げられる。
 亡くなったのが誰であるかまでは聞き取れなかったが、店の運営の要である人物のようだ。
 食べてて大丈夫なのか怪しいジャンクフードチェーン店が地方の隅々までのしていく中、こういった普通に美味く、気取らず、良心的な価格でサービスを提供する個人店が損なわれ続けていくのはとても悲しいことだ。
 悪しき魔法使いどもはまた一歩、勝利を磐石にしたということになる。
 人が死ぬのは当たり前のことだが、世間とのよすがを絶たれて以来、日増しに厭世の念が強まっていく朕には、ひどく理不尽なことが起きていると感じられた。

 悲嘆に暮れつつもアルゼンチンサーフへ。
 岸寄りには赤い細かい粒子の混じった水が広がる。赤潮とはまた違うが、魚の呼吸器官に障を与える質のものであることは確かだ。
 ここは肩慣らしのキャストだけで移動。

 次なるポイントはアルゼンチンサーフの延長線上にあるショアラインに水門からの吐き出しがあるポイント。
 透明度は高いが、澱んだクリアだ。
 フレッシュなクリアウォーターとは言い難いが、勢い良く流れ込む淡水と、海水がせめぎあうスポット的な変化はある。
 せめぎあう周辺を一流ししてみたが、青物が回ってくる確信を得られるものを感じ取ることはできず。
 スポット的な変化だけでは、魚が居る本筋とは繋がらないということか。
 湾内はもうだめなのかもしれない。
 
 しかし、ここは気が向いたからといっていつでも来れるようなところではないのだ。
 打てるところは打っておきたい。
 マーさんがよく口にしていた「元取らなきゃよ」という心理が働く。

 向かった先は吉原なる場所。
 何と甘美な響き!
 海流がはっきりと見て取れ、その規模も大きい。
 青物の回遊コースになりうるようにも思われた。
 サヨリの群れの規模も大きく、ルアーに反応してくる小ダツも見える。しかし、何事も起こらない。来てさえいれば簡単に反応を得られる魚なのだ。
 やはり駿河湾自体がだめなのかもしれない、とだらけていたところ、水面から小型のアーケロンが顔を出していた。
 吉原で亀の頭とは…これは吉兆か?と、期待したが現実はシビアなものである。やはり、湾内が沖合性の回遊魚にとって快適な環境ではなくなっているのだろう。

 釣果が期待できる状況ではないと悟りながらも、我々は再びアルゼンチンサーフに向かった。
 あのポイントにはひっきりなしにルアーマンが来ている。魚は来なくとも、ルアーを狙ってアルゼンチンキッドが現れるかもしれないと思ったからだ。
 駄菓子菓子…。
 キッドより先に大雨と雷が来てしまった。
 せっかくの遠征をノーフィッシュで終えるのはいかにも無念であったが、魚が来る見込みが無い中を粘るほど我々は愚かではない。
 素直に敗北を受け入れての撤退。

 それにしても未だに現れぬアルゼンチンキッド。或いは、アルゼンチンキッドとは、紫光波を受信する友人を持つ楽和が見てしまったアストラル界の住人なのかもしれない。

 ※マー語
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tag : 多摩川 ルアーフィッシング

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イシグロはパラダイスと聞きました。
知人はイシグロで買った特売品をネットで転売し高級ルアーを買っています(笑)

Re: タイトルなし

店内で、DUOのレアリスシリーズが、エビ先生のプロモーション映像付きで紹介されてるのがGOOD過ぎます!

最近の国産ルアーの中ではレアリスシリーズは特にコストパホーマンスに優れていると感じてるので、シリーズ全品の置いてあるイシグロは重宝してます。
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Author:dragon
天に替って道を行おうとする人。
玉帝の導きに従い、非凡なる境地を目指している。

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