登戸森林

 8月12日。

 「多摩川で“○回連続ボーズなし!”」の伝説三輪式自慢を決めようと意気込んで降臨跡に乗り込む。
 今日もレジェンドⅡに無用のプレッシャーを与えないための配慮をしての出発。
 ポイントに入る前にオペラ座を見れば追放者の姿。残念ながら、今日はソープオペラ休演確定だ。

 橋の下には師匠と張横。
 「おめえばっかポイント独り占めしてんじゃねえよ!
 降臨の時代の礼は欠かさない。
 今朝雨が降ったようで、昨日下がった水位が戻っている。
 濁り、流れが発生しており、今日は小物釣りが好調とのこと。
 張横は先ほどボイル打ちを成功させたとのことで写真をちょうだいする。
 40には届かないがグッドプロポーション。
 そしてこのヒットルアー…。
 朕は「おめえらこの前までドッグX全否定だったじゃねえか!」と、賛辞を贈った。
 これは、ナマズを釣りたいという修羅に、朕がドッグXはラトル音や浮き角の問題でナマズには使えないと説明したことがあり、ある日、李立がドッグXでスモールマウスを釣ったので、朕がその功績を褒めそやし、ドッグXの美点について論じ合っていたところ、上記のごとくぶちきれられたという故事から発した礼式である。
 メガバスに対するネガチブな発言は、修羅にとって自らを侮辱されたに等しいことなのかもしれない。ぶちきれられた当時はそんなことも知らず、あまりの支離滅裂さに唖然としてしまったが、降臨の世が近くなってからようやく理解できたという次第である。

 さほど待つことなく公孫戍こうそんじゅと 夏侯章かこうしょうもやって来る。粗方釣り廃人が揃ったところで、朕は侯嬴こうえい島に向かいながら釣り上っていく。
 スモールマウスやそれ以外の魚の水面での捕食が発生していたので、朕は表層系のベートで流していったが反応は得られず。
 流れの当る足元にセンコーを通していた夏侯章はバイトを捉えていたが、フッキングは決められず、自ら「アタったとかバレたとか、そんな話は聞きたくねーんだよ!」と、照れ隠しをしていた。
 飲み物を買いに行くといって街に消えた公孫戍や、バイトのあった一帯に固執する夏侯章を尻目に、朕は一足先に島に入った。

 島の周辺にベートは濃い。
 魚食ゴイ、ニゴイの姿は見られなかったが、いずれ入って来るだろう、と気にもせず。
 やがて公孫戍と夏侯章もやって来て、公孫戍が本流筋でバイトを捉えていたがフッキングが決まらず。
 朕は三匹のライギョを発見し、二種目達成者を目指し奮闘するが、これらのライギョはルアーに興味を示すことすらなかった。
 夏侯章がまた引っくり返っているのが見えた。
 横着な様がバイトを引き出しているのか、横着が禍してフッキングを決められないのか不明であるが、混沌氏の術理からすれば、その辺を明らかにしようとした時点で純白が損なわれ、神性定まらなくなるのだ。

 テトラ帯には下野さんの他、見知らぬ釣り人も何人か見えるようになっている。今こそ、修羅が降臨すべき時であろうに何をしているのか…。
 水位は微減したが、ベイトは依然濃いままであるところを見れば、単に川の全体的な流量が減っただけのことだとも考えられる。ということで魚が入ってくるのを待った。
 しかし、陽が落ちてもコイ、ニゴイのバイトが単発であったのみ。
 少々とはいえ、水位が下がることはこのポイントにとって命取りなのか。
 三人うちそろってのボーズ確定。
 ここで良いのかと疑念を抱きながら探り当てた昨日と違い、今日はここで間違いないと打ち合わせた上でのノーフィッシュ。
 そこで、自分だけはヘボくない気でいたいがために「おめえがいいって言うから来てみたけどよお…釣れねえじゃねえか!」と、互いにこのポイントを選んだ責任をなすりつけ合っての納竿となった。

 休演のオペラ座を通り過ぎ、僕たちは今恋をしているコンビニへ。
 おビールと食料を買ったとき、店員の手が朕の手に触れた。きっと彼女、自分に気がある。これが恋の始まりか…。
 それぞれの伝説の思い出を語らいながら、おビール片手に通りを見ていると、公孫戍が「あ、アナザーだ」という。
 見れば、通りの向こう側を威風堂々と走り抜けていく、見覚えのある後姿。
 一見、疾駆には感じられないが、瞬く間に視界から消えていく。
 雪見酒、花見酒といったものに劣らぬ風流を味わうことができた瞬間であった。

 さっきまで我々はぎすぎすしていた。
 全員ボーズだったからか、独占欲がそうさせるのか、とにかく我々はぎすぎすしていた。しかし、そのどこから来るのかわからないぎすぎすさも、伝説疾駆というサプライズによって解消された。
 これによって、明日の三連続釣行最終日は新川で鍛えた本気を実釣をもって示すぞ!と意欲が湧き、笑顔での解散となった。




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Author:dragon
天に替って道を行おうとする人。
玉帝の導きに従い、非凡なる境地を目指している。

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