多摩川秘話 人妻との熱い夜

 10月25日。

 昨日と同じ状況のまま今日が迎えられれば何の問題もないのだが、そうはいかないことは天気予報が示していた。
 更に、この日から潮回りが停滞に入ることも示されている。
 小潮だろうが、温暖な時期の増水を伴う雨は、ゲームをイージーにしてくれるが、最近は朝晩がだいぶん肌寒く感じられることが多くなってきている。
 環境的なプラス要因は見当たらなくとも、魚の存在は確認できているので、諦める必要もない。

 昨晩から降り続いた雨で、先日は空振りに終わったシェルターに魚が入ってきていることを期待し、五本松から攻めてみることにした。
 また、増水により、冠水するブッシュに出くわすこともあるだろうから、ということで、ロッドは昨日に引き続きASR・JIG/FROGを選択し、リールはリーダーを付けず、PE60lbのみを巻いたカルカッタ200を載せ、フロッグのフッキングにも対応できるようにした。
 フロッグに合せて太いブレイデッドライン直結することとなれば、他のルアーもラインの存在感より強いルアーを用意しなければならない。
 トップウォータープラグと、サイズの大きめなミノープラグとビッグベイトをボックスに加える。

 五本松エリアは予想通りブッシュ地帯まで冠水しており、フロッグを使うには理想的なロケーションとなっていて、一舐めしてみるが一切の反応を得られることはなかった。
 こうなることはわかりきっていたとはいえ、極端にバスやライギョの少ないフィールドの寂しさ、つまらなさを再認識。
 つまらぬ規制が法としてまかり通っている世の中を嘆く。
 このエリアが正解ではないと見て取った朕は、ぢょんが先行する下流エリアに向かうことにした。

 バギーのおっちゃんぢょんと合流。
 ワンドの上流部は中洲の砂利が本流の泥水を濾過してくれるのだろう。水が澄んでいた。アユ、コイの魚影も濃く、ナマズの回遊が期待できるものだった。
 小型のラージマウスが一匹、何かを追っているのが見えた。
 スクールで居れば腰を据える価値はあるが、単独では狙ったところで無為に終わるだろうし、あの程度のサイズではナマズのエサになってしまうのがオチだろう。
 下流に進むに従い、濁りが入るようになっていたが、魚を呼吸困難にする質のものではない。
 ベイトも豊富なので日中に釣れる可能性のある濁りだ、と流していくが反応は得られない。まだ早いのか。
 やがて堰直上まで進み、堰下を見れば“もしかしたら”と思わせる緩みが目に入る。
 小潮というマイナス要因はあっても、雨による増水はプラス要因だ。
 というわけで、バスと名の付く魚はすべて我々にとって至宝なのだから、まずは行ってしまえ!という流れに。

 堰下到着。
 様子を見て歩くが、一カルパと経たぬうちに、やっぱりシーバスは無理だと悟り上流に戻ることにする。
 李立も狛江に向かっているとのことなので、それまでのんびり戻りつつ休憩。
 その途中、思わぬものを発見。

 まさか狛江で、哀川町さんが「秋葉原か?」と突っ込んでいたおでん缶に出会えるとは。
 ぢょんはこれを購入し、食していた。
 おでん缶ってどうなってんの?というどうでもいい日常の謎が解ける。
 和泉多摩川へおいでの際は是非手にしていただきたい一品である…と、クソッタレの政権が支配し、悪人・嘘つき・ビッチ巣食う街の宣伝をはからずもしてしまう朕であった。

 ワンドに戻り李立も合流。
 光量が落ち、エサ釣り師たちが撤収するまで、コイをサイトで狙ってみたり、雑談をしながら時間を潰し、陽が落ちてから仕事開始。
 頭部をケガした30センチ程度のライギョを発見。細々ながらも命をつなげられていることを喜んだ。
 コフナジーを巻く朕、回天を巻くぢょん、ドッグウォーカーを巻く李立、共に反応を得られてはいたが、いずれもフッキングには至らず単発。
 李立は流れに面した緩みの部分の方が良いのではないかと提案。
 しかし、昼間見た感じでは中洲へ渡れるようには見えなかったので、朕はワンドで粘ろうと思っていたがバックラッシュ。ハンドルも回らなくような重症。無念の戦線離脱。
 結局、ぢょんが中洲へ渡る道を見つけたようで、ぢょんと李立は引き続きナマズ狙いに行った。

 スクーターのところに戻ってみれば、何者かがおっちゃんのバギーを見回している。
 何事かと思い、声を掛けてみれば、ツイッターやら何やらで、ここでキャンドルを灯すとか何とかのイベントがあると聞き来てみたが誰も居ない。バイクや自転車がまとまって停まっていたので関係者の物かと思いうろついていたのだという。
 「キャンドル…ああ、あの悪魔の追跡みたいなやつか」と朕。
 「何ですか、悪魔の追跡って?」
 娑婆の人間のほとんどは悪人、嘘つき、ビッチである。彼女もビッチの一人であろうと思っていたから訳のわからぬことを言って不快な気分になって去ってもらおうと思っていた朕であったが、不快どころか興味を持ってしまったようだ。
 「クリント・イーストウッドの映画で、最後に主人公の車がカルトの松明に囲まれるシーンがあるんだけど、いつ見てもキャンドルの集会はそれ思い出すんですよ。ちなみに今日は集会らしいものといえば川崎側で飲み会みたいなのがあったぐらいですね」
 と、丁寧に答えてやった。
 「ありがとうございます。ところで釣りをしてたんですよね。釣りをするってことは自然を大事に考える人でしょう?原発についてどう思いますか?」
 反原発グループの女か…この手の輩は好かないが、原発側の人間や、原発を支持する連中はもっと好かない。
 当然朕は反原発思想の持ち主である。
 ここから話を進めるうちに、思想的に妙にリンクしてしまい、会話は弾み、ブルース・リー先生や武道の話まで出てきて止まらなくなってしまっていた。
 彼女は釣りはしないが自然に学ぼうとする者で、大らかさを失い、何事も経済だ、ルールだと狭苦しく生き難くなっていく世の中の流れを嘆く同志だったのだ。
 時として、思わぬところで思わぬ人物に会うこともあるんだな、と、お互いに感心し、縁があればまた会おうと言い、それぞれの帰路に就いた。
 破綻以降、初めてアングラー以外の人間に好意を持てた稀有な出来事。

 と、久々に釣り以外の面白い出来事に気を良くし、着信したメールを見てみれば、李立、ゲーム成功の報あり。

 ぢょんがランカーズ土産で買ってきたドッグウォーカーが、遂に火を噴いていたのである。

 朕もリールが通常のバックラッシュで済んでいれば…とは思ったが、重症バックラッシュのおかげで面白い人物に会うことができたのだ。
 ああいう女と小指が赤いPE80lbで結ばれていれば良かったのに、と思わずにはいられなかった。

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Author:dragon
天に替って道を行おうとする人。
玉帝の導きに従い、非凡なる境地を目指している。

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