天猛の光片

 7月8日。
 地下労役から、この時期にしては珍しく早く解放された。
 ペリカは多いに越したことはないが、骨身を削ってまで得る価値は無いと固く信じている朕には、スズメのチンポ汁を得るだけのために潰れてしまう時間が勿体なく感じられる。
 生きている時間は限られているのである。
 限られた時間は他人のでっち上げた価値観、ルールに惑わされることなく有意義に使うべきだろう。

 到着前にある程度の状況を確認しておくと、ボイル発生条件を揃えたエリアにはアユ獲りが入っていて望み薄。スモールマウスは諦め、ナマズに絞ったほうがいいだろう。

 ぢょん、李俊、李立、秦明らが勢ぞろい。そして日曜日だけあって釣り人は多い。その光景は往年の河口湖を思わせるものがあった。
 これまでの様子を聞くに、スモールマウスもアーリーサマーの動きに入っているようである。
 ということはこれまでCalling upが上手くいかなかったのはエリアの割り出しが甘かっただけのことで、秦明の話を聞くとやはりバスはバスであり、シーズナルパターンに則った動きをしているというのが事実のようだ。
 朕が到着したのは既に夕刻に入る頃。
 テトラ帯本流ではさしたる反応も得られず、ルアーのスイムチェックをするのみとなっていたので、本流回遊待ちの李俊を残し、我々は狙いをナマズに絞り、上流のベイトとシャローの条件を求め移動。

 朕と李立はベイトを狙う魚を直接捉えるサイトフィッシングのポジションに。ぢょんと秦明はフィーディングスポットへ向かう魚を拾い上げる回遊狙い。
 しかしフィールドワーカーである李立が言うには、ここ最近、ナマズに限らずこのワンドへの魚の寄りは悪いという。
 ベイトという条件は満たされ、流入してくる水質は良い。やはり、本流と泉を隔てるワンド全体の水質が問題か。
 第一ナマズワンドの状況は良くないと仮定し、ワンドが本流に隣接する第二ナマズワンドへ。
 しかし、第二ワンドでも反応は得られず。
 待てば回ってくるかもしれないが、いつまで待つのかという懸念が生じ、ならばいっそギャンブルに出るかという流れに。

 一気に堰下まで。
 既に達成者である朕とぢょんは、本流と瀬の絡む一級ポイントを未達成の二人に譲り、結果を待つ。
 やがて秦明がナマズをゲット。リップの脆いフラットラップではできない芸当を頑丈なザブラミノーでやってのけてのヒットである。
 然るべき所に、然るべきベイトでアプローチすれば、多摩川はしっかり釣れるフィールドであるということがまたしても証明されたのである。
 
 この日、李立の同級生君に是非釣ってもらおうと呼んだが、彼はジャッカルを盲信する者。入手困難だというジャッカルの新製品フロッグを結んできていた。
 バギーのおっちゃんがフルキャストの飛距離を見せてやろうとキャストすればルアーは結び目からすっぽ抜け。
 少年落胆。
 ジャッカルなど、使えばすぐぐずぐずになるようなワームを高額で売るメーカー、どうでもいいわいと思っている朕は「フロッグなんてどこでも似たようなもん。要は使い手側のチューニング次第だよ」と冷淡。
 同じく「ジャッカルじゃなくても釣れるならどこのメーカーでもいいじゃん」と、これまた冷淡な李立。
 しかしバギーのおっちゃんと秦明は落ち込む子供に暖かく対応。
 ぢょんは本当に実績のあるウィップラッシュファクトリーのフロッグをくれてやり、秦明はPEラインを満足に結べない少年にFGノットを組んでやる。
 それでも少年は意気消沈したまま。とぼとぼと帰宅。
 聞けばこの少年、朕と同じ武芸者であるという。
 武芸者でありながらこのひ弱さ…ピンと来た。
 物持ちの子でひ弱。これは典獄の息子、武松の腕力が頼りのあのキャラクターではないか。
 同級生のホーリーネーム、施恩に決定。

 更に後日、往来で花栄に会った。
 聞けば同じく日曜日に、花栄の仲間が本流、大規模カバー、水深のある場所をスピナーベイトで攻め、35以上40未満のスモールマウスを得ていたという。
 やはりスモールマウスもバスはバス。シーズナルパターンを理解すれば普通に釣れる魚なのだな、と共に感慨を深めるのであった。
 
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dragon

Author:dragon
天に替って道を行おうとする人。
玉帝の導きに従い、非凡なる境地を目指している。

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