あの細く美しいワイヤーはいずこ…

 12月10日。
 捏造のカリスマ言うところの、ハナクソみたいなジグヘッドでの釣りの季節が到来した。春になれば、あんなクソ寒い夜の釣りなんかもうするものか!と、強く思うのに、寒さが本格化してきたら妙に恋しくなってきやがった。
 オレは頭がおかしいのかと思っていたが、兄弟衆にも同じような感覚に陥っていた者が何人か居たのだった。
 そんな中、先陣破りをしたのが、電脳界にあってはよく雲に乗り、竜を喚ぶこともできる、法術使いにして空手使いの公孫先生であった。
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 活況のようだがイマイチな展開、と、控えめな表現ながらしっかり二桁釣っていたようだ。
 釣果は月下美人メタルジグとソアレのスティックベイトによるものとのこと。ハナクソみたいなジグヘッドでの釣りにならず、捏造のカリスマの言を翻す結果であった。

 12月12日。
 久しぶりに明るいうちに帰宅できたので、いてもたってもいられず出撃。
 先日の、魚体を傷めずにと心がけた取り込みは、結局自らの肉体を傷めることとなったのを反省し、今回はランディングネットを持っていくことにした。
 これは、オレのフィッシング哲学に於ける「無くて苦労するよりも、あって邪魔なほうがいい」というところによるものだ。
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 浅い泉には、やはりアユが残っていて、ワンド内にはコイが群れている。
 何かと不快な存在であるコイではあるが、魚族にとって心地の良い場所を知る指標にはなる。
 ベイト、良い水が重なっているので、必ずやナマズは来るだろう…と、一匹だけだが視認できた。
 やはり冬の進行が顕著なのか。水の中の季節は陸上より遅れると云われているが、この水深の浅い一帯ならば陸上の気候に左右されてしまうのだろう。
 結局、日没後にバイトがあったが、ランディング中にラインが沈み枝に絡まり解くことも適わずフックアウト。
 続々と入ってくるという気配も無く、しかし“気配”という自分の感覚に疑いを持ち、確認作業を続けてみたが結果虚しく。

 12月13日。
 冷たい空気、晴れた空。ナマズが警戒心を解く、或いはベイトを求める行動に入る状況にはなりにくい日中。
 やがて暗くなり、ワンド一帯に靄が立ち込める。水温が気温を上回っていることを示している。
 大規模とはいえなくとも、アユやコイの群れは行き交っていたし、現に生命の存在を示す波紋も数多く確認できた。
 これが春から秋にかけての季節なら、確信を持って反応を得るまでキャストを続けられるが、靄が現われるほどの水温ではあっても、オレ自身が冷え込みを厳しく感じていた。無反応が重なるたびに削られていく。
 そろそろシャローの有効期限が切れる時か。断言にまでは至らずとも、シャローの力を推測する判断材料を肌感覚で得られたという収穫はあった。
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 12月19日。
 中量級ウォーブラーからフィネスフィッシングまでこなす、パワースピン、ASR824S。ゼル・ローランドのトップウォータースペシャルでもあったMパワーのバーサタイルキャスティングロッド、TAS783C。
 安価なのにハイパフォーマンスというスグレモノぶりに、すっかり魅せられてしまったオールスターのロッド。遂に、MHクラスのソルト・パワーゲーム対応のスピニングロッドと、ジグ&フロッグスペシャルというカバー打ち用のキャスティングロッドを注文した。
 ここまで1ピースロッドを揃えたら、あとは足というところなのだが、ペリカ生活がら抜けられる見込みが立たぬので、まだしばらく兄弟衆の協力をかたじけのうすることになりそうだ。なにぶんよしなに…。
 しかし、本格的なバサーとしての復活。魚種問わずのルアーフィッシング(釣堀は除く)への、なお一層の傾倒。経験と学習による研鑽、たゆまぬフィールドワークによって新たにもたらされてゆく知識…機はまさに熟しているのだ。必要なものはおのずと得られようというところだが、やはり邪悪な魔法使いどもの悪意によって阻まれている現在。
 将軍様も崩御なされた。
 相変わらず世の中はクソみてえなもの。顧みる価値も無い。

 そんな今日という日。オレはボーズ覚悟で多摩川へ行く。
 まったく釣れないというわけでもないが、これからの時期は、確信を得るためのキャスト&リトリーブから、希望的観測に基いてのキャスト&リトリーブへと移行していく。
 登戸エリアに到着し、湧水の絡む一帯の水に手を突っ込んでみると、冷たさは感じられなかった。これが今回の希望の材料となった。
 ワンド内にコイの群れを見るが、光量が落ちてもナマズを視認できず。ベイトっ気の薄さがナマズを寄せるに至らなかったのか。ならば、日中隠れているであろうテトラ帯はどうか。今年二月の厳寒期にナマズを得たのも、この湧水の絡むテトラ帯であった。
 かつて幾度となく攻めてきたこのテトラ帯だが、テトラ回りを完全に攻めきるという技量はオレには無い。水流、根掛りを躱した後の大きな軌道の逸れ、完全に根掛かった際の回収作業による場荒れ。丹念に攻めようにも攻めきれぬという現実。
 やはり、カバーから出て捕食行動に入ろうとしている個体でなければオレに釣ることは出来ない。
 この日は、テトラ攻めに十分に時間を費やしたが徒労となってしまった。
 漫然と実績ポイントだから、と攻めているわけではないが、結果として漫然とした攻めになっていた感は否めない。これはルアーフィッシングに於ける、忌むべき時間の浪費というほかないだろう。

 12月21日。
 一日置いて休日となったこの日。
 心情的には極寒のメバルゲームといきたいところだが、そうもいかぬのが悲しいところ。
 肉体疲労の進行著しく、起きたのは昼過ぎ。
 ふと気付けば花和尚の紅蠍よりメール着信あり。
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 都落ち生活での美食と釣り三昧の日々が懐かしくなる写真だった。
 今や、世間に心残りは生き別れの娘達のこと以外何も無く、これといっって求めるものも無いので、心の赴くままに再び都落ちもありな気がしている。しかし、何をするにも銭がつきまとうファッキンな縛りのせいで、飛び出せずにいるが…。
 何も無くなってしまえば、世間というものはただのストレスでしかない。
 常日頃から寒さに身を晒す日々を送っているが、不快な空気から一時的にでも逃れんものと、寒空の登戸エリアへのこのこと出かけていった。
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 期待を持てるほどではないが、つい先日までナマズは捕食行動をとっていたし、冬季に水深のある場所、湧水の絡む場所で釣れていたことを考えれば、冬だからといって冬眠に入り全く動かなくなってしまうわけでもない魚が相手だ。
 適水温期ほど活発には動けないが、機会があれば捕食は行うと見ている。
 最大水深のあるポイント、堰に向かうフラット、湧水の絡むテトラ帯を流しつつ一帯の様子を見て歩くと、鵜、青鷺、白鷺、カイツブリらしき鳥といった魚食鳥が見受けられる。
 最大水深のある一帯には鵜が数羽。フラットの向こうの堰には多くの白鷺、テトラ帯周辺をカイツブリらしき鳥が回遊、泉とワンドの一帯には青鷺が三羽といった具合。
 青鷺をワンドや泉の中に見るのは今日が初めてだった。白鷺やカイツブリのような鳥がワンドに張り付くのは見慣れた光景だったが…これは何かの兆しかもしれないと感じられた。
 寒さが日常的なものとなり、力を失ったシャローのワンドだが、気になって光量が落ちるまで観察してみることにした。
 すると、光量が落ちる頃、コイの群れに混じって一匹の長い魚体が現われた。
 ゲームフィッシングに於いては、ターゲットそのものを追うのではなく、ターゲットを取り巻く環境をよく識り思考を練るべきなのだ、という思想が活きた。
 しかし、この時ラインに結ばれていたテキサスリグでのアプローチはお気に召されなかったようで、二度の誘いが見破られ、いずこかへと消え去っていった。ヘビーシンカーでのフォールがいけないのか、遊動型シンカーとルアーの動きにタイムラグの生じるアクションがいけないのか、原因は定かでないがテキサスリグとナマズの相性は悪いような気がしている。
 仮説だが、ワームでナマズを釣るときに肝要なのは、スローフォールとダイレクトなアクションなのではないだろうか。
 その後、ルアーをポインター78に替え、一帯へのキャストを続けてみたが反応は無く、寒さのため軽いバックラッシュを解く気力も失せ撤退。

 今年は“ナマラー”だの“ナマ師”だのと揶揄されるほどナマズフィッシングをすることになったが、得られるものは多かった。
 いずれ、公には突き詰めて語られていないナマズ攻略について語ってみたいと思っている。
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Author:dragon
天に替って道を行おうとする人。
玉帝の導きに従い、非凡なる境地を目指している。

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