狛江竜 相州混世魔王に遇う

 師は、オレにこう言った。
 「ドラゴン、己を偽るな。人はとかく己を偽り飾りたがる。そして単純なものほど理解されにくい。しかし、真実は真実。わかる者にはわかる。」
 偽らなかったのは確かだが、偽らなかったというより偽れる才能がなかったのだ。これによって身を持ち崩した形にはなったが、真実には近付けた気はしている。
 とか言いながら、これはリー師父脚本の、白帯マーシャルアーツ俳優主演TV映画の台詞の引用なのだが。
 とにもかくにも、“財を疎んじ義を重んずる”という好漢の習いに従ってやってきたら、それなりに恵みはもたらされるもので、ひとつの舞台の幕が下りようとするその途上で起こった特筆すべき出来事が以下に語られる。

 雨に降られた肉体労働を終え、ロメロの『死霊のえじき』を二十数年ぶりに鑑賞し、グロ描写よりドラマ的面白さを楽しんだ後、外を見れば雨がやんでいた。
 この日が大潮であることは、すでにチェック済み。川の増水の傾向も昼間にチェック済み。行くしかないでしょう。

 まずは濁った川の流れが海の水と交わり、流されたベイトを楽して捕食できる場所と思われる場所ってことと、渋滞が緩むまでやり過ごそうってことで多摩川をチェックしてみた。何回かキャストしてはみたが、流されてきた浮きゴミがストレスになり、状況判断するまでもなく撤退。
 海へ。
 雨に降られた日中ではあったが、これまでの雨と違い、温暖な感じがしてたからシャローで問題ないでしょう、と、増水時の待ち伏せポイントを攻めてみる。水面が穏やかだったので小型ペンシルを引いてみるが無反応。しかし、奥の方で捕食は見えている。コンクリート護岸が、シャラシャラ系のラトル音を増幅させてるからいけないのか?

 その読みが正しかったかどうかは別にして、アスリートの小さいヤツを引いてみたら、数投のうちに、やはり待ち伏せポイントでヒット。40ちょい。
 その後、ルアーのタイプを変えて叩きまくったが魚の気配が無くなりポイント移動。
 最奥部へ。
 移動先では、時折小さな波紋が見え、セイゴやマルタがいることを示していた。まだ下げ初めの頃で、足元の水深もそこそこにはあるが、ミノーじゃロストが怖い。どうせ、釣れても小さいだろうし、と、投げやりな気分でペンシルを引いていたら、小さく吸い込むようなバイトが出た。

 上げてみたら、意外に大きく、40はいかなかったが満足行くサイズが釣れた。

 ヒットルアーのラッキークラフトのNW99。入手から10年近く経つが、このルアーで30センチ以上の魚が釣れたのはこの日が初めて。その後も捕食は時折起きていたがバイト一回あったのみ。また、潮の下から上へルアーを引きたかったが、潮位の加減で、どうにもそのポジションが取れず、その頃には漁場への道が開けていたので、このポイントを捨てた。
 さて、漁場へ行く前に、一服でもして…暖機を始めると、光線の照らす先が青く見える。青い光は妖術師がいる証だと、かつて軍師に聞いたことがある。ふと訝んで辺りを見てみると、一人の見目麗しき女が近付いてくる。
 ふっ、オレってクールな男だからな。しかし、その表情は誰かを探しているかのよう。
 は!?ひょっとして、書簡でのやりとりをした樊瑞か?いや、樊瑞は男だと聞いている。まあ、よい。どちらともなく話しかけ、互いに探していた人物だと知る。
 やはり、樊瑞とその相方だった。
 改めて挨拶を交わし…しかし、いくらオレが水滸伝を気取っていても、そこは釣り人同士。早速、この一帯の傾向と、川崎周辺ポイント事情の話が始まる。
 シーバス釣り自体は、さほど難しいものではない。
 しかるべき状況で、タイミングさえ合えば、簡単に釣れる。しかし、衆生の世知辛さがこの釣りを必要以上に難しくしているという結論に達し、この場を辞した。
 それにしても人の縁とは、不思議なものだ。語りつくされていることとはいえ、いざこの身に起こると、その妙味を実感する。次は、帰りの時間を気にしなくとも良い日に会いたいものである。
 その後、漁場へ移動したが、たまにバイトがあり、セイゴを掛けたりもしたが、どうにもぱっとせず、翌日の早起きを考えるとってことで、潮止まりと思われる時間に納竿とした。

 尚、釣り場の補給ポイントであるローソンがGW中は休業になるようなので、ここで告知しておく。
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Author:dragon
天に替って道を行おうとする人。
玉帝の導きに従い、非凡なる境地を目指している。

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